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テレワークについて知る

2017.4.3 掲載
働き方改革推進の機運が高まるなか、時間や場所にとらわれず仕事ができる「テレワーク」を導入する企業が増えています。これまでは多くの企業が女性の働き手を念頭に置き、育児や介護と両立させるために自宅で働く在宅勤務を取り入れていましたが、最近はより幅広い社員へと対象が広がっています。今回は在宅勤務をはじめとするテレワークの種類とその歴史、企業の導入状況、関連サービスなどについて解説します。

3.働き方改革の推進に対応し導入広がる

3.働き方改革の推進に対応し導入広がる
 日本企業の労働時間は欧米と比べて長く、かねてから働き方の効率化で労働生産性を向上させる必要があると指摘されていました。政府は成長戦略として、労働生産性を向上させる「働き方改革」の推進を掲げ、テレワーク、兼業・副業など柔軟な働き方をその柱の一つに位置付けています。これに対応し、産業界では導入拡大の機運が高まっています。
 人口減少による人手不足が深刻になるなか、育児や介護のため働く時間や場所に制約のある女性や、労働意欲のあるシニアの活躍を促す手段としてテレワークは有効です。今後、団塊の世代の高齢化が進み、介護を理由に離職する社員が急増する恐れもあります。介護離職防止対策としてもテレワークは期待できます。
 総務省の調査によると、15年末時点で在宅勤務を含むテレワークを導入している企業は16.2%と前年同期比で4.7ポイント上昇しました。政府は20年までにテレワークの導入企業を12年度の3倍にする目標を掲げています。
 味の素は17年4月から、本体の全社員の約3500人を対象に在宅勤務制度を導入することを決めています。週1日だけ出社すれば、それ以外の日は自宅など社外で働けます。約1100人の管理職には原則、週1日を目安に在宅勤務を義務化する方針です。
 川崎重工業も16年から、事務職と技術職を合わせた総合職の社員を対象に在宅勤務制度を一部で導入しており、17年度中に全職場に広げます。このほかトヨタ自動車やキリンホールディングス、キッコーマン、ユニ・チャーム、大阪ガスなどもテレワークの本格的な導入や対象社員の拡大を進めています。
2017年4月3日掲載