テレワークは1970年代に米国のロサンゼルスで始まりました。石油危機への対応とマイカー通勤による大気汚染の緩和が目的で、その後の女性の社会進出増加やパソコンの普及で90年代には欧米の各国に拡大しました。
日本ではバブル期に都市部のオフィス賃料が高騰したことで関心が高まり、90年代に「職住近接」をうたった郊外型のサテライトオフィス設置が相次いだほか、ノートパソコンの普及でモバイルワークも広がりました。2000年代以降、高速通信回線の家庭への普及や、厚生労働省の在宅勤務ガイドライン策定などが追い風となり、在宅勤務を導入する企業が増えました。
11年の東日本大震災以降は事業継続計画(BCP)の一環として、在宅勤務に注目が集まりました。震災発生の直後は、交通網のまひや停電で帰宅が難しくなったり、自宅待機を余儀なくされたりした社員が多く、やむを得ず業務を中止した企業が少なくありませんでした。在宅勤務ができる環境が整っていれば災害時も業務を続けられる可能性が高まるため、BCPに在宅勤務を盛り込む企業が増えました。