ビジュアル・ニュース解説

クラウドファンディングについて知る

2017.3.20 掲載
インターネットを通じて不特定の多くの人から小口資金を集めるクラウドファンディングが注目を集めています。当初、東日本大震災の被災地支援など社会貢献に使われましたが、最近はベンチャー企業が新規事業の立ち上げや商品開発などの資金を調達するなど活用が広がっています。今回はクラウドファンディングの考え方や仕組み、活用の事例、普及を後押しする政府の施策について解説します。

4.投資色の強い貸付型が急増

4.投資色の強い貸付型が急増
 民間調査会社の矢野経済研究所によると、15年度の国内のクラウドファンディング市場(新規プロジェクトの支援額ベース)は14年度比68.1%増の363億3400万円で、16年度は前年度比3割増の477億8700万円になる見込みです。
 15年度の市場は貸付型が約322億円で、全体の9割近くを占めました。貸付型は投資先のリスクに応じて年5%程度の利息を得られることが多く、低金利が続くなかで高い利息を狙った投資資金が流入しています。貸付型は今後も大きく伸びるとみられます。
 クラウドファンディング市場の拡大に伴い、投資家が安心して出資できる環境も整いつつあります。東京海上日動火災保険は17年2月、クラウドファンディングを巡るリスクを保障する保険を国内で初めて発売しました。仲介サイトの運営会社がこの保険に入っていれば、出資者はお金を募る事業者が破たんしたときに出資金の8割程度が返金されます。
 政府も制度面からクラウドファンディングの適切な利用を後押ししています。15年5月に施行された改正金融商品取引法で、クラウドファンディングで未上場株式に投資する株式型を解禁。1人50万円までなら、投資家がクラウドファンディングを通じて未上場株を購入できるようになりました。
 企業にとっては資金調達やマーケティングの有力な手段として、個人投資家には新たな投資手段として、クラウドファンディングのすそ野は今後ますます広がりそうです。
2017年3月20日掲載