ビジュアル・ニュース解説

クラウドファンディングについて知る

2017.3.20 掲載
インターネットを通じて不特定の多くの人から小口資金を集めるクラウドファンディングが注目を集めています。当初、東日本大震災の被災地支援など社会貢献に使われましたが、最近はベンチャー企業が新規事業の立ち上げや商品開発などの資金を調達するなど活用が広がっています。今回はクラウドファンディングの考え方や仕組み、活用の事例、普及を後押しする政府の施策について解説します。

3.ベンチャー企業だけでなく大手の利用も広がる

3.ベンチャー企業だけでなく大手の利用も広がる
 大手企業の活用例もあります。ソニーは15年7月、クラウドファンディングサイト「ファースト・フライト」を立ち上げました。社内オーディションを通過した製品プロジェクトを掲載し、支援金を集めて製品を一般発売します。16年には1億円以上の資金を調達し、腕時計のバンド部分にスマートフォンとの連携機能を搭載した「ウェナリスト」を発売して話題を呼びました。
 クラウドファンディングは資金を調達できるだけでなく、アイデア段階の新事業、商品のニーズを探ったり、認知度を高めたりするマーケティングツールとして活用できます。最近の購入型の成功事例のひとつが、制作費の一部をクラウドファンディングで集めたアニメ映画『この世界の片隅に』です。15年3月に募集を始め、同年5月下旬までに3374人から4000万円近い資金を集めました。支援者には監督との会合への参加や、映画のエンドロールへの名前掲載などの特典が用意されました。当初の上映館は約60館だけでしたが、出資者を中心とした口コミの効果もあって評判が全国に広がり、上映館数も200館前後にまで増加。17年1月には興行収入15億円、観客動員数110万人を突破し、クラウドファンディングで制作資金を集めた映画としては異例のヒットとなりました。
 このほか、自治体の街おこしや大学の研究資金の調達に利用したり、金融機関が取引先企業の支援に導入したりするなど、クラウドファンディングの活用は広がっています。
2017年3月20日掲載