ビジュアル・ニュース解説

クラウドファンディングについて知る

2017.3.20 掲載
インターネットを通じて不特定の多くの人から小口資金を集めるクラウドファンディングが注目を集めています。当初、東日本大震災の被災地支援など社会貢献に使われましたが、最近はベンチャー企業が新規事業の立ち上げや商品開発などの資金を調達するなど活用が広がっています。今回はクラウドファンディングの考え方や仕組み、活用の事例、普及を後押しする政府の施策について解説します。

2.東日本大震災の被災地支援をきっかけに普及

2.東日本大震災の被災地支援をきっかけに普及
 クラウドファンディングは寄付が盛んな米国で生まれました。2008~09年に登場した「キックスターター」「インディーゴーゴー」が仲介大手として知られます。日本では2000年に創業した「ミュージックセキュリティーズ」が音楽アーティストの育成を目的に、好きなアーティストに1口1万円など決まった額を出資すれば、CDの売り上げに応じて分配金が得られたり、CDジャケットの裏に名前が載ったりする仕組みを始めました。
 国内では東日本大震災があった11年以降に本格的に普及し始め、現在は40ほどのサイトが運営されています。日本初のクラウドファンディング仲介サイトの「レディーフォー」や、サイバーエージェントの子会社が運営する「マクアケ」などが代表的なものです。
 当初は被災地支援など社会貢献を主な目的とする寄付型が中心でしたが、最近はベンチャー企業の新規事業立ち上げや商品開発、店舗開設などを支援する購入型が増えています。購入型は企業にとって、融資のように資金を返済する必要がなく、リスクを抑えて資金調達ができるのが魅力です。ネットを通じて広くプロジェクトを知ってもらえる利点もあります。仙台市の音響製品会社「JDSound」は16年にA4サイズの小型のディスクジョッキー(DJ)機器の開発プロジェクトを企画。マクアケで製品を一般向けの販売価格より3割ほど安く買えるコースを設定し、目標の2000万円を大きく上回る5300万円の出資を集めました。
2017年3月20日掲載