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クラウドファンディングについて知る

2017.3.20 掲載
インターネットを通じて不特定の多くの人から小口資金を集めるクラウドファンディングが注目を集めています。当初、東日本大震災の被災地支援など社会貢献に使われましたが、最近はベンチャー企業が新規事業の立ち上げや商品開発などの資金を調達するなど活用が広がっています。今回はクラウドファンディングの考え方や仕組み、活用の事例、普及を後押しする政府の施策について解説します。

1.ネットを使って幅広く小口の資金を募る

1.ネットを使って幅広く小口の資金を募る
 クラウドファンディングはプロジェクトを実行するための資金が必要な団体や企業、個人などがインターネットを通じてアイデアや計画を公開し、不特定多数に小口出資を募る手法で、「大衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。映画や音楽、ゲーム、出版、イベント開催などのクリエーティブなプロジェクトを始めるための新しい仕組みとして米国を中心に注目を集め、企業の新製品やサービス開発のための資金調達にも利用されています。
 同様な資金集めの手法は昔からあります。日本には僧侶が寺社を建立するために信者らから寄付を募る「勧進(かんじん)」がありました。米国の自由の女神像は台座部分をつくる資金が不足し、新聞紙上で寄付を呼びかけて完成させました。
 クラウドファンディングが従来の寄付や資金集めと違うのはインターネットが介在している点です。専門業者が専用サイトをつくり、企画側と資金を提供する支援者を仲介するのが一般的です。企画者自らがサイトを立ち上げて資金を募る場合もあります。ネットを活用することで、より多くの人々がアイデアを知ることができ、気軽に資金提供ができます。企画者が新商品の開発を目指す場合、集める資金の目標額と募集期間を設定して応募を呼びかけ、期間内に出資額が目標に届けば事業化します。
 クラウドファンディングは非投資型と投資型に分けられます。もともと非投資型から始まっており、非投資型には出資者が見返りを求めずに資金を提供する寄付型と、プロジェクトが実現したら商品やサービスを受け取れる購入型の2タイプがあります。
 投資型も金融商品の一種として増えています。資金のやり取りの仕方によって、資金提供者が目標額達成の見返りに利益配分を得る貸付型(ソーシャルレンディング)やファンド型、株式型などに分かれます。
2017年3月20日掲載