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自動運転車について知る

2017.3.6 掲載
ドライバーが操作しなくても目的地まで安全に走行する自動車の自動運転技術が普及段階に入りました。ブレーキやハンドルなど複数の操作を同時にシステムがする自動運転車はすでに市販されており、2017年中には全ての運転をシステムが担う車が実用化される見通しです。自動車メーカーは本格的な普及に向けて、IT(情報技術)や通信、サービスなど異業種の企業と連携し、新しいビジネスモデルづくりを急いでいます。今回は自動運転車はどんなものかや関連する企業の動向、普及に向けた課題と政府の施策について解説します。

4.商機は異業種にも拡大、連携が加速(1)

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 自動運転車は周囲の歩行者や車の動きを感知するセンサーやカメラ、レーダーのほか、車を目的地まで安全・確実に導くための人工知能(AI)やCPU(中央演算処理装置)、高精度の地図データが欠かせません。三菱電機や日立製作所、ソニーなど大手電機各社はセンサーやAIなどの関連技術の開発に力を入れています。
 自動車メーカーとIT企業の連携も広がっており、ホンダがグーグルの自動運転車開発部門を独立させたウェイモと完全自動運転技術の共同研究を検討しているほか、自動運転で日産はDeNAと提携しました。
 自動運転の実現には最新の道路状況が常時必要なため、無線通信機能を備えた「コネクテッドカー(つながる車)」であることが前提です。大量のデータを高速で送受信できる第5世代(5G)の次世代高速通信はコネクテッドカーの鍵となる重要な技術です。現在の通信技術(LTE)では、路上に設置されたセンサーが障害物などを検知し「ブレーキを作動せよ」と車に伝えるまで約1秒かかるとされます。通信速度が早まれば自動運転車への情報伝達も迅速になり、安全性が高まります。NTTドコモやソフトバンクなどの通信大手は5Gの需要喚起も狙って、独自に自動運転の実証実験に乗り出しています。
2017年3月6日掲載