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自動運転車について知る

2017.3.6 掲載
ドライバーが操作しなくても目的地まで安全に走行する自動車の自動運転技術が普及段階に入りました。ブレーキやハンドルなど複数の操作を同時にシステムがする自動運転車はすでに市販されており、2017年中には全ての運転をシステムが担う車が実用化される見通しです。自動車メーカーは本格的な普及に向けて、IT(情報技術)や通信、サービスなど異業種の企業と連携し、新しいビジネスモデルづくりを急いでいます。今回は自動運転車はどんなものかや関連する企業の動向、普及に向けた課題と政府の施策について解説します。

3.17年には条件付きの自動運転車が市販される見通し

 自動運転機能を備えた車はすでに市販されています。日産は16年8月に発売したミニバン「セレナ」に高速道路の単一車線を自動走行できる技術「プロパイロット」を搭載しました。前方を走る車を追跡するように走ったり、車線からはみ出さないようしたりできるレベル2に相当する技術が組み込まれています。300万円を切る普及価格帯の車種にこの水準の自動運転機能を載せるのは世界で初めてです。
 富士重工業は17年に運転支援システム「アイサイト」を改良します。現在のシステムでも高速道路の単一車線を一定速度で走ったり、前方の車両を追走したりできますが、低速走行時はハンドル操作が必要でした。改良版は渋滞時も含むすべての車速でハンドルと加減速の操作を自動でこなします。海外勢ではダイムラーやテスラの量産車もレベル2に相当する自動運転ができます。
 17年にはレベル3の自動運転車が市販される見通しです。先行しそうなのは海外メーカーです。独アウディは旗艦車種「A8」に高速道路の渋滞時(時速60キロメートル以下)に運転者が関わらなくても安全に自動走行できる技術を導入する予定です。
 レベル4も実現の時期が見えつつあります。米フォード・モーターは21年までに完全自動運転車を量産する計画で、BMWは同年までにレベル4の技術導入を目指して半導体大手の米インテルと提携しました。独フォルクスワーゲンも21年に完全自動運転車を市販する予定です。
 日本勢では日産が18年に高速道路での自動車線変更、20年までに一般道での自動運転の実現を目指しており、トヨタとホンダは20年をめどに高速道路で自動運転できる車を実用化する計画です。
2017年3月6日掲載