ビジュアル・ニュース解説

世界の人口について知る

2017.1.16 掲載
世界の人口は2016年時点の約74億人から途上国を中心に増え続け、50年には97億人を超えると予測されています。人口増は労働力と消費の担い手を拡大し、経済成長の原動力となります。一方、先進国では少子高齢化が進行し、労働力不足や社会保障費の増大などの問題を抱えています。今回は世界の人口の推移や人口とその年齢構成の経済への影響などについて解説します。

4.途上国は人口ボーナスで経済成長

4.途上国は人口ボーナスで経済成長
 人口は14歳以下の年少人口、15~64歳の生産年齢人口、65歳以上の老年人口に分けられます。生産年齢人口は働き手の中心となり、年少人口と老年人口の生活を支えます。
 人口構造の状態を表すのが「人口ピラミッド」です。人口ピラミッドは国の人口を男女別、年齢ごとに表したグラフで、男女のどの年齢層の人口が多いか少ないかが目で見て分かります。日本をはじめとする先進国の多くは、上と下が細く中央が膨らむ「つぼ型」をしています。これに対し、インドやナイジェリアなどの途上国は下部が広がり上部が細い「富士山型」をしています。つぼ型の国は年少人口が少ないため将来は生産年齢人口が少なくなり、老年人口の割合が高くなる可能性があります。富士山型の国は生産年齢人口が多く、老年人口は少ないことが分かります。
 老年人口が急増する一方で、少子化で生産年齢人口の補充ができずに減少し、財政や経済成長の重荷となる状態を「人口オーナス」、逆に年少人口と老年人口が少なく、生産年齢人口が多い状態を「人口ボーナス」といい、豊富な労働力が経済成長を後押しします。富士山型の人口ピラミッドが多い途上国は今後、人口ボーナスの恩恵が期待できます。これに対し、先進国の多くは1950年ごろには富士山型でしたが現在はつぼ型になっており、人口オーナス期に入っています。2000年代から豊富な労働力を背景に高成長を遂げた中国も11年以降は成長が鈍化しました。その一因として、10年をピークに生産年齢人口の割合が低下し、人口ボーナス期が終わったことが挙げられます。
2017年1月16日掲載