ビジュアル・ニュース解説

国債の役割と長期金利との関係を知る

2016.10.17 掲載
国が不足する収入(歳入)を補うために発行する国債。日本は歳入の約4割を国債発行に依存しており、借金が財政を圧迫しています。日本銀行が2016年1月にマイナス金利政策の導入を決定して以降、長期金利の指標である新発10年物国債利回りはマイナスに低下していましたが、日銀は同年9月に長期金利をゼロ%程度に誘導する方針を打ち出し、国債利回りの動向に注目が集まっています。今回は国債の概要や国家財政の現状、国債と長期金利との関係、日銀の金融政策の長期金利への影響などについて解説します。

1.国の事業の財源を確保するため発行

1.国の事業の財源を確保するため発行
 企業や国、地方自治体などが投資家から資金を借り入れるため、利息の支払いや元本の返済期日を約束して発行する借用証書(有価証券)を債券といいます。このうち国が発行するものが国債です。国は金融機関や個人投資家などに国債を買ってもらい、集めたお金を国の事業に使います。国は国債の保有者に対し、定期的に一定の利息を支払い、定められた返済期日(満期日)に借りた元本を返済しなければなりません。この元本返済を「償還」といいます。
 国債は法律に基づいて発行され、集めた資金の使用目的によって「建設国債」「特例国債」「借換債」「財政投融資特別会計国債(財投債)」などに分けられます。
 建設国債は道路や港湾などの社会基盤整備の財源を調達するために発行します。国の歳出は原則として税金で賄わなければなりませんが、公共の事業やサービス、出資金、貸付金は国会が議決すれば、建設国債を発行して財源を集められます。財政法第4条に基づき1966年から発行されています。
 一方、特例国債は建設国債を発行してもなお歳入不足が見込まれる場合に、公共事業費以外の歳出に充てる資金を調達するために発行するもので、「赤字国債」ともいいます。建設国債と違って使い道が決まっていないため、むやみに発行されないよう、発行には特例公債法の国会での可決が必要です。1965年に初めて発行されました。
2016年10月17日掲載