ビジュアル・ニュース解説

国債の役割と長期金利との関係を知る

2016.10.17 掲載
国が不足する収入(歳入)を補うために発行する国債。日本は歳入の約4割を国債発行に依存しており、借金が財政を圧迫しています。日本銀行が2016年1月にマイナス金利政策の導入を決定して以降、長期金利の指標である新発10年物国債利回りはマイナスに低下していましたが、日銀は同年9月に長期金利をゼロ%程度に誘導する方針を打ち出し、国債利回りの動向に注目が集まっています。今回は国債の概要や国家財政の現状、国債と長期金利との関係、日銀の金融政策の長期金利への影響などについて解説します。

3.歳入の4割弱を国債の発行で補う

3.歳入の4割弱を国債の発行で補う
 国債は毎年多額の発行が常態化しており、2016年度の発行額は34兆4320億円、発行残高は約838兆円に上ります。16年度の歳入約96兆円のうち税収でまかなわれるのは約6割弱で、残りは国債で補っています。
 多額の国債発行を続けた結果、発行済み国債の償還や利払いなどの費用(国債費)が膨らんでおり、16年度予算では23兆6121億円と歳出全体の24.4%を占めます。これは社会保障関係費に次ぐ割合で、財政の圧迫要因となっています。
 国債と借入金、一時的な資金不足を補うために発行される政府短期証券を合わせた「国の借金」の16年3月末の残高は1049兆3661億円で、このうち国債の残高は910兆8097億円でした。15年度の名目国内総生産(GDP)約500兆円に対する比率は200%強と先進国の中で最も高くなっています。16年4月1日時点の人口推計をもとに単純計算すると、国民1人当たり約826万円の借金を抱えていることになり、国債発行の抑制による財政の健全化が急務です。
2016年10月17日掲載