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GPSでどうして自分のいる位置が正確にわかるの?

2016.10.3 掲載
人工衛星から受信した電波を利用して現在の位置を割り出す全地球測位システム(GPS)。自動車のカーナビゲーションシステムやスマートフォン(スマホ)の地図アプリ、「ポケモンGO」などのゲームで活用されているほか、自動運転やドローン(小型無人機)の自動飛行を支える技術としても注目されています。今回はGPSの仕組みと今後活用が期待される分野、国内外の取り組みについて解説します。

1.複数の人工衛星からの距離を測定して位置を特定

1.複数の人工衛星からの距離を測定して位置を特定
 GPSは「Global Positioning System」の略で、地球の上空の人工衛星(GPS衛星)からの電波を地上のカーナビやスマホなどの受信機で受信して、その位置を割り出します。
 現在地と複数の衛星との距離をそれぞれ電波を使って測定することによって、位置を特定するのが基本的な原理です。衛星が発信する電波には正確な時刻データが含まれており、衛星から電波が発信された時刻と受信機がその電波を受信した時刻との差で到達にかかった時間がわかります。電波の速度は光の速度と同じ秒速約30万キロメートルですから、衛星から受信機までの距離は次の数式で求められます。

 衛星から受信機までの距離=電波が到達するまでにかかった時間×電波の速度

 受信機は衛星から等距離で描ける球面上のどこかに位置します。2、3基目の衛星との距離がわかれば3つの球が描けます。3つの球の交わる2地点のうち、地表に近い方が受信機の位置となります。
 ただし、実際には受信機が内蔵する時計は正確ではないため、4基目の衛星との距離も測ってずれを補正しています。
2016年10月3日掲載