GPSはもともと1973年に米国が軍事用に開発に着手。78年からGPS衛星の打ち上げが始まり、93年から運用されています。
これに先立ち、83年に起きた大韓航空機が空路を外れてソ連(現ロシア)の空軍機に撃墜された事件を機に、当時のレーガン米大統領はGPSの運用を始めたら、民間航空機の安全航行のために使用を認めることを表明。米国は96年にGPSを課金なしで全世界に開放し、受信機があれば自由にGPSを利用できるようになりました。
ただし、米国は当初、軍事利用を優先し、民間向けは精度を落としていました。2000年にこの対応をやめたため、測位精度の誤差は約100メートルから約10メートルに縮まりました。
民間での利用は船や航空機の位置把握から始まりました。現在は自動車のカーナビやスマホの地図アプリ、子ども・高齢者の見守りサービスなどに活用されており、生活に身近なものになっています。最近ではGPSの位置情報を利用して遊ぶスマホ向けゲームが人気を集めています。訪れた先の景色にスマホの内蔵カメラを向けると、画面の中にポケットモンスターが現れる「ポケモンGO」もその一つです。
このほか、国内約1300カ所のわずかな位置の変化を観測して地震予知に役立てたり、渡り鳥の背中にGPS受信機を取り付けて行動範囲を調査したりするなど、科学分野で利用されています。スマホを持つ顧客の現在地をGPSで特定し、最寄りの店舗の情報を配信するなど、マーケティングへの活用も広がりつつあります。