ビジュアル・ニュース解説

領海と排他的経済水域~海の国境について知る

2016.9.19 掲載
四方を海に囲まれ、周囲の海の広さは世界有数の日本。日本はエネルギーなどの資源に乏しいため、海底に眠る資源の活用が期待されています。ただ、中国や韓国とは管轄する海域の境界をめぐり対立が続いています。今回は海域の区分や国際ルール、日本と周辺国との問題について解説します。

4.中国や韓国などと海域をめぐる争い続く

4.中国や韓国などと海域をめぐる争い続く
 島国の日本は周辺国との間で海域をめぐる問題を多く抱えています。代表例が東シナ海のEEZをめぐる中国との境界画定です。日中両国に挟まれた東シナ海の幅は400カイリに満たず、両国の海岸線から200カイリの海域は重なり合います。日本はそれぞれの領土から等距離の「中間線」を境界にすべきだとの立場です。これに対し、中国は大陸棚の地形に沿って境界を引くよう主張しています。東シナ海には日中どちらのEEZに含まれるかがはっきりしないガス田が点在していますが、中国の主張に従えばこれらのガス田は同国のEEZに含まれます。日中政府は08年に中間線周辺のガス田の共同開発の交渉に入ることで合意しました。しかし、その後の進展がないまま、中国が構造物を新設するなど、独自に開発を進めています。
 韓国とのEEZの境界も未確定です。領有権を巡って対立する竹島(島根県、韓国名・独島)周辺にはEEZが重複する海域があり、韓国が周辺で海洋調査をするたびに日本は抗議しています。
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有問題も領海やEEZに関わります。日本は同諸島を「我が国固有の領土」として実効支配を続けていますが、中国と台湾も領有権を主張しています。16年8月には中国漁船と海警局の船が初めて同時に周辺の領海に侵入するなど、緊張が高まっています。
 四方を海に囲まれた日本にとって、水産物や石油・天然ガスなどの海洋資源の有効利用は持続的な発展に欠かせません。海からの貴重な恩恵を享受し続けていくためには、領海をめぐる周辺国との粘り強い交渉がますます重要になりそうです。
2016年9月19日掲載