ビジュアル・ニュース解説

「パナマ文書」世界を揺るがす~タックスヘイブンについて知る

2016.6.20 掲載
世界の企業や富裕層による課税逃れの実態を明らかにした「パナマ文書」報道をきっかけに、タックスヘイブン(租税回避地)に対する関心が高まっています。企業や一部の富裕層だけが脱税や行き過ぎた節税ができるうえ、それによって納税額が減って各国の財政悪化の一因となっていることに批判が強まり、タックスヘイブンへの監視強化の機運が高まっています。今回はタックスヘイブンとは何かや、その問題点、課税逃れを防ぐための国際的な取り組みについて解説します。

3.企業会計の不正や犯罪資金洗浄の温床との指摘も(2)

3.企業会計の不正や犯罪資金洗浄の温床との指摘も(2)
 欧米では以前から、タックスヘイブンを利用する多国籍企業が高収益を上げながら本国で払う税金を安く抑えていることが問題視されていました。財政悪化にあえぐ国が増えている近年は課税逃れを防ぐための国際協調が加速しています。経済協力開発機構(OECD)は14年に、各国の銀行口座などの課税情報を自動的に共有できる仕組みづくりを提案、約100カ国・地域が17年から情報交換を始めます。また、OECDと主要20カ国・地域(G20)は15年10月、多国籍企業の行き過ぎた課税逃れを防ぐ新たなルールを採択しました。具体的には本国の課税権を強化し、タックスヘイブンの子会社が稼いだ利益を本国の親会社の利益と合算して課税できるようにしました。日本を含む40カ国以上がこの新ルールに合意し、国内法の手直しに着手しています。
2016年6月20日掲載