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「パナマ文書」世界を揺るがす~タックスヘイブンについて知る

2016.6.20 掲載
世界の企業や富裕層による課税逃れの実態を明らかにした「パナマ文書」報道をきっかけに、タックスヘイブン(租税回避地)に対する関心が高まっています。企業や一部の富裕層だけが脱税や行き過ぎた節税ができるうえ、それによって納税額が減って各国の財政悪化の一因となっていることに批判が強まり、タックスヘイブンへの監視強化の機運が高まっています。今回はタックスヘイブンとは何かや、その問題点、課税逃れを防ぐための国際的な取り組みについて解説します。

2.企業会計の不正や犯罪資金洗浄の温床との指摘も(1)

2.企業会計の不正や犯罪資金洗浄の温床との指摘も(1)
 タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立すること自体は違法ではありませんが、企業の利用が拡大すれば、もともと本社を置いていた国の税収が減ります。国際決済銀行(BIS)の2009年の統計によると、世界の各国はタックスヘイブンによって日本円で年間30兆円弱もの法人税を失ったとされます。口座情報が秘密にされているため、企業会計の不正やテロ組織・麻薬組織・反社会的組織などのマネーロンダリング(資金洗浄)の温床になっているとの指摘もあります。
 個人でタックスヘイブンを利用できるのは、まとまった資産を持つ富裕層に限られます。世界で経済格差が拡大するなか、富裕層だけが節税や有利な条件での資産運用ができることに対する批判も強まっています。
2016年6月20日掲載