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TPPの影響について知る

2015.11.16 掲載
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が2015年10月、大筋合意に達しました。世界最大の自由貿易圏が誕生します。自動車などの工業分野の輸出拡大が期待される半面、安い海外産農産物の輸入拡大によって国内農家が厳しい競争にさらされる恐れもあります。今回はTPPの概要や産業界・消費者への影響、発効までの今後の見通しについて解説します。

3.発効には各国議会の承認が必要に

3.発効には各国議会の承認が必要に
 TPPはただちに発効するわけではありません。参加する12カ国はそれぞれ国内の法令との整合性をチェックした上で、「批准」と呼ばれる議会などの承認を得る必要があります。
 15年10月のTPP交渉の閣僚会合で、一部の参加国が2年以内に批准できなくても、域内GDPの合計が85%以上を占める6カ国以上が批准すれば発効できるようにしました。ただし、日米両国が批准しなければこの条件を達成できません。
 TPP発効の行方を左右しそうなのが米国の政治動向です。米議会では国内産業や雇用への影響を懸念する声が根強く残っています。16年に大統領選挙を控えているため、審議がスムーズに進まなければオバマ政権下で批准できない恐れがあります。
 日本では早ければ16年1月に開かれる通常国会でTPPの審議が始まりますが、同年夏の参院選を控え、農家などが支持母体の議員から慎重な対応を求める声が上がりそうです。このほか、カナダも政権交代で議会承認が遅れる可能性があります。
2015年11月16日掲載