TPPはただちに発効するわけではありません。参加する12カ国はそれぞれ国内の法令との整合性をチェックした上で、「批准」と呼ばれる議会などの承認を得る必要があります。
15年10月のTPP交渉の閣僚会合で、一部の参加国が2年以内に批准できなくても、域内GDPの合計が85%以上を占める6カ国以上が批准すれば発効できるようにしました。ただし、日米両国が批准しなければこの条件を達成できません。
TPP発効の行方を左右しそうなのが米国の政治動向です。米議会では国内産業や雇用への影響を懸念する声が根強く残っています。16年に大統領選挙を控えているため、審議がスムーズに進まなければオバマ政権下で批准できない恐れがあります。
日本では早ければ16年1月に開かれる通常国会でTPPの審議が始まりますが、同年夏の参院選を控え、農家などが支持母体の議員から慎重な対応を求める声が上がりそうです。このほか、カナダも政権交代で議会承認が遅れる可能性があります。