急増するインバウンド消費を狙って、国内企業はその取り込みに積極的に取り組んでいます。旅行やホテル、交通運輸などの観光関連にとどまらず、小売りや外食など、これまで外国人向けのビジネスに縁のなかった業界も意欲を見せています。
コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンは14年12月から、都市部など31店で訪日外国人向けに消費税の免税手続きへの対応を開始。15年7月までに対応店舗を1000店に増やしたのに続き、15年度中には全国の3000店に拡大します。ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングスは免税対応店を地方に広げ、16年3月期末までに前期比7割増の200店に増やす計画です。百貨店各社は免税カウンターの導入店舗を増やしたり、カウンターの席数を拡大したりしています。
訪日外国人がインターネットを自由に使えるように、無料の公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」を整備する店も増えています。ネットが自由に使えれば、その場で商品情報の検索ができ、家族や仲間と何をどれだけ買うかを即座に相談できるなど、買い物の利便性が増します。このほか、大手小売各社は中国の銀行・クレジットカード「銀聯(ぎんれん)カード」で買い物ができる店舗や、外国語を話せるスタッフが常駐する店を増やしています。
インドネシアやマレーシアなどイスラム圏からの訪日客への対応も進んでいます。イスラム教には豚肉を使わないなど、食に関するさまざまな戒律があります。百貨店やスーパーではこの戒律に従っていることを認証する「ハラル認証」を得た商品を取り扱ったり、レストランでハラル認証を受けた食材のみを使用したメニューを開発したりするなどの事例が増えています。