国・地域別で最も大きな伸びを示しているのは中国です。14年の旅行消費額は5583億円の中国が首位で、台湾(3544億円)、韓国(2090億円)が続きます。1人当たりの旅行支出額はベトナム(23万8000円)、中国(23万2000円)、オーストラリア(22万8000円)の順で多く、全体の平均は約15万円と前年に比べ10%増えています。14年の日本人1人当たりの年間消費額は約120万円なので、訪日客の購買力はその8分の1に当たります。なおベトナムが首位になったのは、富裕層や滞在日数の長いビジネス客が多いためとみられます。
訪日客の増加とインバウンド消費拡大の要因として、中国をはじめとするアジア各国の経済成長が挙げられます。経済成長にともなって所得水準が上がって日本を訪れる観光客が増え、消費額全体を押し上げています。
円安も追い風になっています。円安で海外から日本への旅行代金が下がったため、外国からの旅行者は日本を訪れやすくなります。
東南アジア諸国向けに短期滞在査証(ビザ)の発給要件を緩和するなど、政府が訪日客の拡大を後押ししていることも奏功しています。外国人が消費税を課されずに購入できる商品の品目(免税品目)が14年10月に、それまでの家電製品や衣類だけでなく、食品や医薬品、化粧品などの消耗品を含むすべてに広がりました。