ビジュアル・ニュース解説

社外取締役と企業統治について知る

2015.9.7 掲載
安倍政権は企業の競争力を高めることを狙い、企業統治(コーポレートガバナンス)の強化を打ち出しています。施策の中心は社外取締役の活用で、2015年5月に上場企業に社外取締役の選任を促す改正会社法が施行されたのに続き、6月には会社から独立した立場の社外取締役を2人以上選任するよう求める企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が適用されました。今回は企業統治の考え方の基本や近年の強化策の内容、導入の背景などについて解説します。

3.上場企業への企業統治指針の適用も始まる(1)

3.上場企業への企業統治指針の適用も始まる(1)
 東京証券取引所と金融庁は上場企業に対する「企業統治指針」(コーポレートガバナンス・コード)を定め、15年6月から適用を始めました。指針は「独立社外取締役」を2人以上選ぶよう求めています。独立社外取締役とは親会社の出身や経営者の親族ではないなど、経営から独立した立場の社外取締役のことです。社外取締役は本来、経営から独立した立場であるべきですが、従来の社外取締役は取引先や株主出身など、会社と利害関係のある人が少なくありませんでした。独立社外取締役の選任はこれを是正して社外取締役の経営チェック機能の実効性を高めるのが狙いです。法律ではないので強制力はありませんが、選任しない場合はその理由を公表しなければならず、従わなければ社名が公表されます。指針はこのほか、取締役の多様性を確保するため女性の活躍を促進する必要性などにも言及しています。
2015年9月7日掲載