ビジュアル・ニュース解説

映画業界と映画館の最新動向を知る

2015.7.20 掲載
2014年の国内の映画興行収入が4年ぶりに2000億円台を回復しました。その一方で、複合型映画館(シネマコンプレックス)の拡大でスクリーン数が増えたほか、大画面テレビやスマートフォンの普及により映画鑑賞の手段の選択肢が広がり、映画館を取り巻く環境は厳しくなっています。映画館各社は競争力を高めようと、最新の上映システム導入やサービス充実などに努めています。今回は国内の映画産業の概要と歴史、映画館の最新動向について解説します。

4.3D映画の登場も業界復調を後押し

 映画館のデジタル化と映像が立体的に見える3次元(3D)映画の普及も映画業界の復調を後押ししています。
 ハリウッドの3D映画の大作が登場した2009年以降、入場者数と客単価の増加を狙う映画館の3D対応が急速に進みました。通常の映画よりも料金を高めに設定できるからです。
 3D上映を実現したのがデジタル化です。それまで映画の撮影や編集などの制作のデジタル化は進んでいましたが、映画館の上映はフィルムを使ったアナログ方式が主流でした。アナログ方式はフィルムを複製して各地の映画館に届ける必要がありますが、デジタル方式なら作品のデータを通信回線を通じて各映画館に配信でき、フィルムを扱う担当者の人件費やフィルムの輸送・保管のコストがかかりません。フィルムと違って音や画質が劣化する心配もありません。
 デジタル化で上映コンテンツの多様化も進み、サッカーの試合やオペラ公演、人気アーティストのライブ中継など、「ODS(アザー・デジタル・スタッフ)」と呼ばれる映画以外のデジタルコンテンツの上映も増えました。
2015年7月20日掲載