ビジュアル・ニュース解説

映画業界と映画館の最新動向を知る

2015.7.20 掲載
2014年の国内の映画興行収入が4年ぶりに2000億円台を回復しました。その一方で、複合型映画館(シネマコンプレックス)の拡大でスクリーン数が増えたほか、大画面テレビやスマートフォンの普及により映画鑑賞の手段の選択肢が広がり、映画館を取り巻く環境は厳しくなっています。映画館各社は競争力を高めようと、最新の上映システム導入やサービス充実などに努めています。今回は国内の映画産業の概要と歴史、映画館の最新動向について解説します。

3.映画業界、シネコンの拡大と邦画の健闘で盛り返す(2)

3.映画業界、シネコンの拡大と邦画の健闘で盛り返す(2)
 近年の邦画の健闘も好調の追い風になりました。日本映画製作者連盟によると、興行収入(映画館が得た入場料の合計)全体に占める邦画のシェアは2000年代前半は3、4割前後で推移していました。しかし2000年代後半以降は5、6割を占めるようになり、12年の邦画の興行収入は過去最高を記録しました。
 邦画好調の背景にあるのが、複数の会社が資金を出し合って1本の映画を製作する「製作委員会」方式です。映画会社などが単独で全額出資して映画を製作すると、作品がヒットすれば多額の利益を得られる半面、興行成績が不振だった場合のリスクが大きくなります。そこで、現在はリスクを限定できる製作委員会方式による映画作りが主流となっています。製作委員会に参加する企業は、出版社、テレビ局、広告代理店といったメディア関連や商社などです。映画を製作すれば、出版社は原作など関連書籍の販売増が見込め、テレビ局は有力なコンテンツの放映権を獲得できます。商社はキャラクター商品などグッズの販売でも収入を得られます。製作委員会には様々な企業が参加しているので多面的なPRができることも、ヒット作品を生む要因の一つになっています。
2015年7月20日掲載