ビジュアル・ニュース解説

映画業界と映画館の最新動向を知る

2015.7.20 掲載
2014年の国内の映画興行収入が4年ぶりに2000億円台を回復しました。その一方で、複合型映画館(シネマコンプレックス)の拡大でスクリーン数が増えたほか、大画面テレビやスマートフォンの普及により映画鑑賞の手段の選択肢が広がり、映画館を取り巻く環境は厳しくなっています。映画館各社は競争力を高めようと、最新の上映システム導入やサービス充実などに努めています。今回は国内の映画産業の概要と歴史、映画館の最新動向について解説します。

2.映画業界、シネコンの拡大と邦画の健闘で盛り返す(1)

2.映画業界、シネコンの拡大と邦画の健闘で盛り返す(1)
 映画業界は娯楽の多様化やビデオ機器の普及とビデオレンタルの登場などの影響で低迷が続き、最盛期の1960年前後には7000館を超えていた映画館数は90年代前半には1700館台まで減少。年間入場者数も11億人台から1億2000万人台にまで落ち込みました。しかし90年代に、館内に複数のスクリーンを持つシネマコンプレックス(シネコン)が登場したことで潮目が変わりました。シネコンでは常に複数の映画が上映されるため、利用者は鑑賞できる作品の選択肢が増えるうえ、人気作品は複数のスクリーンで同時に上映するので待ち時間が短い利点があります。飲食店や娯楽施設を併設していることが多いので、買い物や食事も楽しめます。シネコンならではの魅力がお客の呼び戻しにつながりました。現在はシネコンが国内総スクリーン数の8割以上を占めます。
2015年7月20日掲載