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アジアインフラ投資銀行って何? 国際開発金融機関の基礎知識

2015.6.1 掲載
中国が主導する国際開発金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に注目が集まっています。英国やドイツ、フランスなど欧州の主要国を含む57カ国が参加して2015年中に設立の予定で、これまでアジア開発銀行(ADB)を通じてアジアの経済開発を主導してきた日本と米国は警戒感を強めています。今回はそもそも国際開発金融機関とは何か、経済開発を目的とした国際金融体制の歴史、AIIB設立の狙いなどについて解説します。

2.日本、世界銀行の支援で戦後復興を果たし、世界2位の資金拠出国に

2.日本、世界銀行の支援で戦後復興を果たし、世界2位の資金拠出国に
 1952年に世界銀行とIMFに加盟した日本は現在、米国に次ぐ第2位の出資国ですが、かつては世界銀行からお金を借りる側でした。戦後、日本が世界銀行から融資を受けたのは1953年の関西電力多奈川(たながわ)火力発電所の建設を皮切りに、61年の東海道新幹線建設、66年の東名高速道路(東京-静岡間)の建設など計31件のプロジェクトで、総額8億6300万ドルに上り、経済発展の基盤となるインフラ整備に大きく貢献しました。日本はこれらの融資を1990年までにすべて返済し、その後は世界銀行に多くの資金を拠出する側になりました。
 日本はIDBやEBRDなどにも出資しており、多数の日本人職員が活躍するなど人材面でも貢献しています。
 特にADBで日本は中心的な役割を担っています。1966年に設立されたADBは、アジア・太平洋地域の途上国を対象に経済開発に向けた融資や技術援助などをしています。本部はフィリピンのマニラに置かれ、67カ国・地域が加盟しています。日本は米国と並ぶ最大の出資国で、歴代の総裁は全て日本出身です。アジアのインフラ整備に重要な役割を果たしてきたADBの活動を支えてきたことは、日本の戦後の国際貢献の一つといえるでしょう。
2015年6月1日掲載