ビジュアル・ニュース解説

アジアインフラ投資銀行って何? 国際開発金融機関の基礎知識

2015.6.1 掲載
中国が主導する国際開発金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に注目が集まっています。英国やドイツ、フランスなど欧州の主要国を含む57カ国が参加して2015年中に設立の予定で、これまでアジア開発銀行(ADB)を通じてアジアの経済開発を主導してきた日本と米国は警戒感を強めています。今回はそもそも国際開発金融機関とは何か、経済開発を目的とした国際金融体制の歴史、AIIB設立の狙いなどについて解説します。

1.途上国の経済開発を支援する金融機関

1.途上国の経済開発を支援する金融機関
 国際開発金融機関とは発展途上国の産業育成などのため、経済開発計画の立案に協力するとともに、必要な資金を供給する金融機関です。先進国が中心となって拠出した資金などを途上国に融資し、経済発展に必要な道路や鉄道、発電所、水道施設などのインフラ整備を支援します。
 その代表格が世界銀行と国際通貨基金(IMF)です。1944年に米国・ニューハンプシャー州のブレトンウッズで、米国や英国などの主要国が第2次世界大戦後の世界経済復興について話し合いました。このときに合意した「ブレトンウッズ協定」に基づき、世界銀行とIMFが創設されました。
 世界銀行は約190カ国が加盟しており、途上国の貧困解消のために長期的に資金を供給しています。中所得国への援助を手掛ける国際復興開発銀行(IBRD)、低所得国が対象の国際開発協会(IDA)、途上国の民間企業に融資する国際金融公社(IFC)など5機関で構成されています。一方、IMFは約190カ国が加盟しており、経済状態が悪化した加盟国を融資などで支援します。世界銀行とIMFを中心とした、米国主導の戦後の国際金融体制は「ブレトンウッズ体制」と呼ばれます。
 世界規模の支援を担う世界銀行とIMFのほか、米州開発銀行(IDB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、アジア開発銀行(ADB)など、支援する地域がより限定的な国際開発金融機関もあります。
2015年6月1日掲載