日本メーカーの鉄道関連の海外事業はこれまで車両の輸出が中心でした。日立の英国での受注やインドの案件のように、近年は車両などのハードだけでなく、列車制御や運行管理、保守サービスなどのソフトも含めたパッケージ型の輸出に力を入れています。
インフラ整備は国家プロジェクトで、企業努力だけで受注するのは難しいため、官民一体の総合力がカギとなります。高速鉄道の輸出を後押しするため、日本政府は14年10月に「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」を設立しました。インフラ整備事業は巨額の初期投資が必要で、これを一企業でまかなうのは困難です。インフラ開発は相手国政府の意向で急に計画変更などが起きることもあります。機構は約1100億円の投資枠を使い、民間企業と連携してインフラ開発案件に投資するとともに、相手国の政府との調整役を担ってインフラ輸出に伴う様々なリスクを抑えます。
首相や閣僚が相手国の政府の要人に新幹線をはじめとする日本のインフラを直接売り込むトップセールスにも力を入れています。安倍晋三首相は就任以来、意欲的に諸外国を訪問しており、これに民間企業が同行してインフラを売り込む例が増えています。
急拡大する高速鉄道需要を着実に取り込み、相手国の経済発展に貢献するとともに、日本の経済成長につなげられるのか。「日の丸鉄道」の真価が試されます。