これまで世界の鉄道市場で先行してきたのは「ビッグ3」と呼ばれるカナダのボンバルディア、独シーメンス、仏アルストムのメーカー3社です。3社の鉄道部門の売上高はいずれも8000億~1兆円規模。これに対し、日立や川崎重工は1500億~1700億円規模と5分の1程度にとどまります。
近年、中国や韓国も国を挙げて鉄道輸出に力を入れており、日本勢のライバルになっています。特に中国メーカーは政府を後ろ盾に受注実績を上げています。さらに国有2大鉄道車両メーカーの中国南車集団と中国北車集団が2015年中に合併。13年度の売上高の合計が3兆7000億円を超え、ビッグ3の鉄道部門の売上高合計を上回る巨大メーカーが誕生するため、その勢いはさらに強まりそうです。
日本勢が激化する国際競争を勝ち抜くには、規模の拡大が欠かせません。その手段の一つがM&A(合併・買収)です。日立は15年2月、イタリアの防衛・航空大手のフィンメカニカから鉄道車両・信号事業を買収すると発表しました。買収額は日立では過去最大の約2600億円の見込みです。買収による規模拡大で総合力を高め、鉄道事業の世界展開を加速させるのが狙いです。