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ハイレゾって何?~オーディオ機器業界の最新動向を知る

2015.3.16 掲載
CDをはるかに上回る高音質を実現したハイレゾリューション(ハイレゾ)音源が脚光を浴びています。より良い音で音楽を聞きたいとの声の高まりに応え、オーディオ機器メーカーはハイレゾ対応の携帯音楽プレーヤーやスマートフォン(スマホ)などを投入。業界団体も共通のロゴマークをつくるなど普及を後押ししており、次世代オーディオの本命として期待が高まっています。今回はハイレゾの基礎や人気の理由、関連業界が市場開拓に力を注ぐ背景などについて解説します。

4.オーディオ市場が縮小するなか、巻き返しを図る機器メーカー

4.オーディオ市場が縮小するなか、巻き返しを図る機器メーカー
 音響機器メーカー各社がハイレゾに力を注ぐ背景にはオーディオ市場の縮小があります。国内の市場規模は1988年の6620億円をピークに縮小が続き、2013年は6分の1以下の1017億円になり、メーカーの再編や淘汰が進みました。市場の将来に危機感が募るなか、新たな成長分野としてハイレゾに期待が高まっています。
 業界団体もハイレゾ普及を後押ししています。これまではメーカーが独自に製品に「ハイレゾ」の名称をつけており、ハイレゾの基準が消費者に分かりにくかったため、JEITAが14年3月、ハイレゾの定義を明確にしたのに続き、同年6月には日本オーディオ協会が対応機器のロゴマークも発表しました。言葉だけが先行して消費者が混乱し、一過性のブームに終わることを避けるのが狙いです。
 最近は携帯音楽プレーヤーで音楽を気軽に試聴するスタイルが若者を中心に広がる一方、コンサートやライブイベントでの生演奏に足を運ぶ人たちが増え、アナログのレコードプレーヤーが再評価されるなど、「より良い音質で音楽を楽しみたい」との声が高まっていました。ハイレゾはこのニーズを取り込みました。ただ、市場を確立するためには、顧客層の一層の拡大が欠かせません。以前は高音質の音楽を楽しむには数十万円〜数百万円もの高額な機器を買いそろえなければなりませんでしたが、それに比べればハイレゾ対応機器は安価だといえます。音質にこだわらない人たちにいかに魅力を伝え、新たな顧客を獲得できるかが、ハイレゾ市場の今後の成長のカギになります。
2015年3月16日掲載