ここにきて、欧州経済の行く末に再び暗雲が立ち込めています。15年1月のギリシャの総選挙で、財政緊縮策に反対する急進左派連合が圧勝しました。厳しい緊縮財政に対する国民の不満や不安が反映された結果です。
首相に就任した同連合のチプラス党首はEUに対し、支援の条件の緩和や債務の減免を求めています。しかしEUはこの要求に難色を示しており、交渉は難航しています。現行の支援合意は15年2月末が期限です。もし交渉が決裂して支援が延長されなければ、資金に窮したギリシャが財政破たんに追い込まれ、欧州が再び経済危機に直面する恐れがあります。
ぎりぎりの交渉が続くなかで、EUは2月20日に開いたユーロ圏財務相会合で、ギリシャ向けの金融支援を4カ月延長することを決定。現行の支援の枠組みを基本的に維持し、ギリシャが改革を断行することを条件に折り合いました。ギリシャは当面の資金繰りにメドが立ち、懸念されていたギリシャの財政破たんはひとまず回避された格好です。
ただ、支援の枠組みが続いても、ギリシャ問題が抜本的に解決するわけではありません。今後、財政不安を抱える他の南欧諸国などでも「反EU」を掲げる政党が伸長する可能性もあります。
欧州が一つの欧州の理想実現に向けて、再燃するギリシャ問題を乗り越え、世界の金融市場や実体経済への悪影響を回避できるのか。欧州経済は再び正念場を迎えています。