ビジュアル・ニュース解説

ギリシャ危機再燃~欧州経済の現状を知る

2015.3.2 掲載
欧州がギリシャ問題で再び揺れています。ギリシャは2009年に財政不安が表面化し、厳しい緊縮財政政策の実施を条件に欧州連合(EU)などから10年以降2回にわたり金融支援を受けました。15年1月の総選挙後に発足したギリシャの新政権は緊縮策を見直し、債務の減免などをEUに求めています。ギリシャとEUの対立が続けば財政不安が再燃し、欧州経済全体が危機に陥るおそれがあります。今回はEUの誕生と欧州単一通貨ユーロ導入の背景、ギリシャ発の経済危機の経緯や支援の今後の見通しなどについて解説します。

2.一つの欧州を目指す大実験(2)

2.一つの欧州を目指す大実験(2)
 EU加盟国は6度にわたる拡大により現在28カ国となり、ユーロ導入国(ユーロ圏)も19カ国に増えています。
 ユーロ圏内は通貨が同じなため、国境を越えた貿易や金融取引をする際、為替変動で損失を被るリスク(為替リスク)がなく、両替手数料も払わずに済みます。各国企業は国境を気にせず、ユーロ圏全体を舞台にビジネスを展開できるようになりました。
 世界の貿易や金融取引で流通する通貨を「国際通貨」といいます。ユーロは導入国の間だけでなく周辺国の間の決済でも利用されており、米ドルと同じような国際通貨の役割を担いつつあります。
2015年3月2日掲載