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ウイスキー再び人気~その背景と最新事情を知る

2015.2.16 掲載
高度経済成長期にブームとなり、年配の男性向けのお酒とのイメージが強かったウイスキー。メーカーが新たに提案したウイスキーを炭酸水で割る「ハイボール」が若者の間で広がり、再びブームとなっています。国産ウイスキーの先駆者夫妻を取り上げたテレビドラマの放映もウイスキーへの関心を高めています。今回はウイスキーの基礎知識と国産ウイスキーの歴史、ブーム再燃の背景、国内メーカーの関連動向などについて解説します。

4.ハイボールブーム再来で市場が拡大、ドラマ人気も追い風に(1)

4.ハイボールブーム再来で市場が拡大、ドラマ人気も追い風に(1)
 しかし09年ごろからウイスキーを取り巻く状況は一気に好転しました。ハイボールブームの再来です。仕掛けたのはサントリーでした。若者のウイスキー離れに危機感を抱いた同社は08年から、主力ブランドの「角瓶」を炭酸水で割ってアルコール度数を7%ぐらいに抑えて飲みやすくし、レモンを足して味を引き立たせる「角ハイボール」を提案。ビールジョッキのような大ぶりのハイボールジョッキを考案して「乾杯のお酒」とする一大プロモーションを展開しました。これが見事に成功し、ハイボールが若者の間でブームとなりました。
 折からのシングル・モルト・ウイスキーのブームも加わり、ウイスキーの国内消費量は09年に上向きに転じ、これ以降も拡大傾向が続いています。14年秋には、竹鶴政孝とその妻、リタを主人公のモデルにしたNHKの連続テレビ小説「マッサン」の放送が始まり、このドラマの人気もウイスキー消費の追い風になりました。
 ウイスキー国内最大手のサントリースピリッツ(旧サントリー酒類)の主力ブランド「角瓶」の14年の販売量は前年比10%増え、過去最高を更新しました。アサヒグループホールディングス傘下のニッカウヰスキーもドラマの人気で、創業者の名前を冠した高級ブランドの「竹鶴」の14年の販売量が前年比8割近く増えるなど好調です。15年1月からは外食店向けに「ブラックニッカ」で氷点下のハイボールの提供を始めるなど、一層の顧客開拓に余念がありません。
2015年2月16日掲載