しかし09年ごろからウイスキーを取り巻く状況は一気に好転しました。ハイボールブームの再来です。仕掛けたのはサントリーでした。若者のウイスキー離れに危機感を抱いた同社は08年から、主力ブランドの「角瓶」を炭酸水で割ってアルコール度数を7%ぐらいに抑えて飲みやすくし、レモンを足して味を引き立たせる「角ハイボール」を提案。ビールジョッキのような大ぶりのハイボールジョッキを考案して「乾杯のお酒」とする一大プロモーションを展開しました。これが見事に成功し、ハイボールが若者の間でブームとなりました。
折からのシングル・モルト・ウイスキーのブームも加わり、ウイスキーの国内消費量は09年に上向きに転じ、これ以降も拡大傾向が続いています。14年秋には、竹鶴政孝とその妻、リタを主人公のモデルにしたNHKの連続テレビ小説「マッサン」の放送が始まり、このドラマの人気もウイスキー消費の追い風になりました。
ウイスキー国内最大手のサントリースピリッツ(旧サントリー酒類)の主力ブランド「角瓶」の14年の販売量は前年比10%増え、過去最高を更新しました。アサヒグループホールディングス傘下のニッカウヰスキーもドラマの人気で、創業者の名前を冠した高級ブランドの「竹鶴」の14年の販売量が前年比8割近く増えるなど好調です。15年1月からは外食店向けに「ブラックニッカ」で氷点下のハイボールの提供を始めるなど、一層の顧客開拓に余念がありません。