世界の原油価格は2011年以降、100ドル前後で推移してきましたが、14年夏ごろから下落が続いています。15年1月にはWTIの価格が1バレル40ドル台にまで落ち込みました。シェールオイルの増産などで供給が増える一方、新興国や欧州の景気減速などで需要が伸び悩み需給が緩んだことが原因です。
OPECが減産に動かなかったことも値下がりを加速させました。原油安の傾向が続くなか、OPECが14年11月に開いた総会で原油の減産で合意するかが注目されましたが、加盟国間の調整ができず減産を見送りました。このため、原油の需給緩和が長引くとの見方が市場で広がり、投資家の売りに拍車がかかりました。OPECが減産で合意できなかった背景にはシェールオイル拡大への危機感があります。北米でシェールオイルの生産量が急増するなかで、OPECが減産すればシェアを奪われます。OPECが価格引き上げよりもシェアの維持を優先したことで、産油国の供給量は当面大きくは減らず、原油安がしばらく続くとみられます。