原油価格は他の多くの商品と同じように、基本的に需要と供給のバランスで決まりますが、需給の見通しも影響を与えます。需要の最大の要因は世界の経済情勢です。各国の景気が減速し、原油の需要が減れば価格は下落します。逆に景気が良くなり、需要が増えれば価格は上昇します。
供給は産油国の生産動向が左右します。産油国が採算性を重視して減産したり、輸出管理を強めたりすれば価格は上昇し、逆にシェア拡大を優先して生産量を増やせば下落します。産油国で起きる戦争や周辺地域の紛争、自然災害による生産設備への打撃など、供給不安につながる要因も価格に影響を及ぼします。多くの投資家から資金を集めて運用するヘッジファンドなども原油の先物市場で積極的に取引しており、投資・投機マネーの動向によっても価格は上下します。
近年、供給増の新たな要因となっているのが、北米で産出するシェールオイルです。地下2000〜3000メートルにある頁岩(けつがん=シェール)層と呼ばれる固い岩盤から産出する原油をシェールオイルといい、北米で生産が急増しています。