ビジュアル・ニュース解説

原油価格の基礎と最新動向を知る

2015.2.2 掲載
原油価格が急落しています。1バレル100ドル前後で推移していた原油価格は2014年夏から下落し始め、15年1月には40ドル台にまで落ち込みました。米国で新たな原油「シェールオイル」の生産量が急増する一方で、新興国や欧州の景気減速により需要が減っていることが原因です。原油安は企業や家計の負担減につながり世界経済に追い風となりますが、資源輸出に依存する国の経済を悪化させ、世界の金融市場の動揺を招く可能性もあります。今回は原油価格の基礎や最近の価格動向、原油安の背景と影響などについて解説します。

3.世界経済の情勢や産油国の生産動向が価格を左右

3.世界経済の情勢や産油国の生産動向が価格を左右
 原油価格は他の多くの商品と同じように、基本的に需要と供給のバランスで決まりますが、需給の見通しも影響を与えます。需要の最大の要因は世界の経済情勢です。各国の景気が減速し、原油の需要が減れば価格は下落します。逆に景気が良くなり、需要が増えれば価格は上昇します。
 供給は産油国の生産動向が左右します。産油国が採算性を重視して減産したり、輸出管理を強めたりすれば価格は上昇し、逆にシェア拡大を優先して生産量を増やせば下落します。産油国で起きる戦争や周辺地域の紛争、自然災害による生産設備への打撃など、供給不安につながる要因も価格に影響を及ぼします。多くの投資家から資金を集めて運用するヘッジファンドなども原油の先物市場で積極的に取引しており、投資・投機マネーの動向によっても価格は上下します。
 近年、供給増の新たな要因となっているのが、北米で産出するシェールオイルです。地下2000〜3000メートルにある頁岩(けつがん=シェール)層と呼ばれる固い岩盤から産出する原油をシェールオイルといい、北米で生産が急増しています。
2015年2月2日掲載