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外国為替相場のしくみと影響について知る

2014.12.15 掲載
安倍政権が経済政策「アベノミクス」の一環で大胆な金融緩和を実施して以降、外国為替市場で円安傾向が顕著です。2014年8月ごろから円安・ドル高が加速し、同年12月には7年ぶりに1ドル=121円台まで下落しました。輸出企業の業績上振れなどの好影響が期待できる一方、内需型企業や中小企業、家計などには負担増となり、日本経済への悪影響を懸念する声もあります。今回は外国為替相場の基本的なしくみ、円安が進行している理由、円安の企業業績や経済への影響などについて解説します。

5.円安の景気押し上げ効果は限定的

5.円安の景気押し上げ効果は限定的
 一般に日本では円高よりも円安の方が好ましいと考えられてきましたが、これは日本経済が自動車や電機などの輸出産業に支えられていたからです。
 ただ、最近は製造業の生産拠点の海外移転が進んでいるため円安は輸出増に結びつきにくくなっています。円安の日本経済全体へのプラスの効果は以前よりも限られており、「円高はマイナス、円安はプラス」というこれまでの図式が成り立たなくなっています。
 米連邦準備理事会(FRB)は14年10月に量的金融緩和策を終了し、いずれ金利の引き上げに動くとみられます。日米の金利差拡大は円売り・ドル買いをさらに促すため、円安局面はしばらく続きそうです。
 安倍政権の強い意向を受けて日銀は大胆な金融緩和を続け、円相場が下落しましたが、円安は日本経済に必ずしもプラスにならないことが明らかになっています。現在の円安がいつまで続き、それが2015年の日本経済にどう影響するのか、日銀が今後どのような金融政策を打ち出すのか注目されます。
2014年12月15日掲載