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外国為替相場のしくみと影響について知る

2014.12.15 掲載
安倍政権が経済政策「アベノミクス」の一環で大胆な金融緩和を実施して以降、外国為替市場で円安傾向が顕著です。2014年8月ごろから円安・ドル高が加速し、同年12月には7年ぶりに1ドル=121円台まで下落しました。輸出企業の業績上振れなどの好影響が期待できる一方、内需型企業や中小企業、家計などには負担増となり、日本経済への悪影響を懸念する声もあります。今回は外国為替相場の基本的なしくみ、円安が進行している理由、円安の企業業績や経済への影響などについて解説します。

3.貿易取引や国際金融取引の動向が為替相場を左右

3.貿易取引や国際金融取引の動向が為替相場を左右
 円高や円安は外為市場における円相場の状態を表しています。ドルなどの通貨に対する円の価値が相対的に高まり、1ドル=100円だった相場が1ドル=95円になったような場合を円高、逆に円の価値が下がり1ドル=105円になったような場合を円安といいます。
 為替レートはモノの値段と同じように需要と供給のバランスで決まります。円を買いたい人が多くなり(円の需要が拡大)、ドルを円に替える動きが活発になれば「円高」になります。逆に円を売りたい人が増え(円の需要が縮小)、円をドルに替える動きが広がれば「円安」になります。
 円高・円安になる要因はさまざまですが、基本的な要因は2つあります。1つは貿易取引(国境を越えたモノの売り買い)の動きです。貿易の決済は基軸通貨であるドルで行われるのが一般的です。このため、日本からの輸出が増えれば、稼いだドルを円に替える動きが増え、為替相場は円高に向かいやすくなります。これに対して、海外からの輸入が増えれば、商品の代金を決済するために円をドルに替える動きが拡大し、円安に向かいやすくなります。
 もう一つの大きな要因は国際金融取引(国境を越えたお金の貸し借りや証券投資)の動きです。外国の人が日本の銀行に預金したり、日本の株式を買ったりする場合、自国の通貨を円に替える必要があります。このため、海外からの預金や投資の増加は円高を招く要因となります。逆に、日本から海外への預金や投資が拡大すれば、円安を促すことになります。
 金融のグローバル化が進んだ現在、投資資金の国際的な移動が為替相場に与える影響が大きくなっています。
2014年12月15日掲載