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外国為替相場のしくみと影響について知る

2014.12.15 掲載
安倍政権が経済政策「アベノミクス」の一環で大胆な金融緩和を実施して以降、外国為替市場で円安傾向が顕著です。2014年8月ごろから円安・ドル高が加速し、同年12月には7年ぶりに1ドル=121円台まで下落しました。輸出企業の業績上振れなどの好影響が期待できる一方、内需型企業や中小企業、家計などには負担増となり、日本経済への悪影響を懸念する声もあります。今回は外国為替相場の基本的なしくみ、円安が進行している理由、円安の企業業績や経済への影響などについて解説します。

2. 24時間動いている外国為替市場(2)

2. 24時間動いている外国為替市場(2)
 外国為替相場は世界の銀行などの金融機関が各国通貨を取引する外国為替市場(外為市場)で決まります。市場といっても証券取引所や青果市場のように特定の場所や建物はなく、市場参加者は電話やコンピューターを通じてオンラインで取引します。外為市場は日本の東京外為市場のほか、ロンドン、ニューヨーク、チューリッヒ、シンガポールなど世界各地にあります。それぞれの市場の取引が活発化するのは日中なので、1日の主たる取引の場は時差の関係で東京→ロンドン→ニューヨークと移っていきます。これにより24時間取引ができます。
 なお、世界の外為市場で取引の中心となっている通貨は米国のドルです。ドルは世界で貿易取引や金融取引の決済に使われており、日本とアジア諸国の貿易でも米ドル建てが一般的です。外為市場で通貨を交換する取引でも、通貨をいったんドルに換えてから別の国の通貨に交換する例が多く見られます。このように国際的な決済や通貨の交換を支える役割を果たす通貨を「基軸通貨」といいます。
2014年12月15日掲載