ビジュアル・ニュース解説

ペットビジネスの最新事情を知る

2014.10.20 掲載
いまや市場規模が1兆4000億円を超えるまでに成長したペット関連ビジネス。ペットを家族の一員とする考え方が定着し、一緒に楽しむレジャーや旅行プラン、ペット向けの保険や葬儀など、関連サービスは多様化しています。最近はペットの高齢化が進んでおり、企業はそれに伴う新たな需要を取り込むために商品開発や売り場作りなどを急いでいます。今回はペットビジネス拡大の経緯や関連業界の最新動向などについて解説します。

3. 国内で2回のペットブーム

3. 国内で2回のペットブーム
 国内では1980年代後半から90年代初頭にかけて第1次ペットブームが起こりました。ブームの火付け役は大型犬のラブラドールレトリバーでした。温和で人懐こい性格のこの犬種の登場により、それまでの「犬は番犬」から「犬も家族」へと飼い主の意識変化が進んだといわれます。ペットに残飯を与える家庭も減り、「家族のための食事」としてペットフードの消費が一気に拡大しました。
 さらに90年代後半からは第2次ペットブームが始まります。このブームの中心はミニチュアダックスフントやチワワといった小型犬です。これらを登場させたテレビコマーシャルの影響や、「癒やし」を求める飼い主が人気を後押ししたと考えられています。
 ペットが飼えるマンションの急増もブームの追い風となりました。かつてマンションはペットの飼育禁止が一般的でしたが、ペットの家族化を受けて建設省(現国土交通省)は97年の中高層共同住宅標準管理規約(2004年にマンション標準管理規約と名称変更)を改正し、ペット飼育を「管理規約に定めるべき事項」としました。これをきっかけとして、不動産会社がペットと一緒に暮らせるマンションを積極的に売り出すようになり、2000年前後からペット飼育を認めるマンションが急増しました。このため、大都市圏を中心に室内でペットを飼う世帯が増え、ペット用品市場も拡大しました。ペット用美容室やペットホテル、ドッグカフェ、ペットシッターなど、新たなサービスも続々と登場し、ペットビジネスの多様化につながりました。
2014年10月20日掲載