ビジュアル・ニュース解説

築地市場の豊洲移転の背景や課題を知る

2014.9.15 掲載
首都圏の食生活を80年近く支えてきた、日本を代表する卸売市場の築地市場。施設の老朽化やスペース不足、卸売市場を取り巻く環境の変化などで、2016年に江東区・豊洲に移転する予定です。新市場は効率的な荷さばき場を設け、温度管理を徹底するほか、多様な消費者ニーズに応えるために食品の加工・小分け機能を強化します。今回は築地市場の概要や移転の背景、豊洲新市場の新たな機能などについて解説します。

3. 老朽化や環境変化により豊洲に移転へ(2)

3. 老朽化や環境変化により豊洲に移転へ(2)
 これらの課題と環境変化に対応するため、1988年に築地市場再整備の基本計画が策定されました。しかし、現在の敷地には再整備に必要なスペースがないうえ、営業を続けながらの工事は時間がかかり、その間の業務に支障が出る恐れがあったため99年に「移転整備」へと方針を転換しました。
 新市場は十分な広さの駐車場や荷さばきスペースを確保でき、交通アクセスの良さなどが求められます。築地市場を利用する業者らの利便性を考慮し、現在の所在地から近くなければなりません。これらの条件を満たす移転場所として、01年に築地から2.3キロ離れた江東区豊洲のガス工場跡が選ばれました。
 ところが、移転先はガスの製造工程で生成されたベンゼンやシアン化合物などによる土壌や地下水の汚染が確認されました。この影響で事業開始が延び延びになっていましたが、汚染対策にメドがつき14年2月に工事が始まり、16年3月の完成を目指して工事が進んでいます。
2014年9月15日掲載