ビジュアル・ニュース解説

築地市場の豊洲移転の背景や課題を知る

2014.9.15 掲載
首都圏の食生活を80年近く支えてきた、日本を代表する卸売市場の築地市場。施設の老朽化やスペース不足、卸売市場を取り巻く環境の変化などで、2016年に江東区・豊洲に移転する予定です。新市場は効率的な荷さばき場を設け、温度管理を徹底するほか、多様な消費者ニーズに応えるために食品の加工・小分け機能を強化します。今回は築地市場の概要や移転の背景、豊洲新市場の新たな機能などについて解説します。

1. 世界最大の水産卸市場である築地市場

1. 世界最大の水産卸市場である築地市場
 卸売市場は産地から多種多様な生鮮食料品などを集め、消費者に安定して提供するための流通拠点で、生産者には確実な販路を、小売業者や飲食業者などには効率よく品物を調達できる場を提供します。東京都中央区の築地市場もこうした卸売市場で、地方自治体などが開設して農林水産省が認可・監督する中央卸売市場の一つです。水産物や青果物を取り扱っており、その供給圏は都内だけでなく関東近県にまで及びます。特に水産物の取扱規模は世界最大で、国内の各卸売市場での価格形成の基準になっています。
 築地市場は日本橋にあった魚市場と京橋にあった青物市場が移転して1935年(昭和10年)に業務を始めました。国内各地だけでなく海外からも入荷する水産物の年間取扱数量は48万トン(13年)で品目は約480種類、青果物は同31万トン、約270種類を扱っています。1日当たりの入場者数は約4万2000人(02年調査)、入場車両数は約1万9000台(05年調査)に上ります。セリは早朝に終わり、ほとんどの店は午前中に閉店しますが、市場の活動自体は24時間休むことはありません。近年では外国人向けの観光ガイドブックに取り上げられ、観光スポットの一つにもなっています。
2014年9月15日掲載