一連の電力システム改革で最も重要なのは第3段階である電力会社の発電部門と送配電部門を分離する「発送電分離」です。送配電事業の公平性を高め、新規参入を促すため、先進国の多くは発送電を分離していますが、日本では電力10社が発電所と送電網を一体運用してきました。これまで新電力の参入が認められても、その販売電力のシェアは数パーセントにとどまっています。新電力が電気を需要家に送るには電力会社の送電網を使わざるを得ませんが、送電網の使用料(託送料)が割高で、事実上の参入障壁となっていたためです。送電網を公平に使えなければ、電力小売りを全面自由化しても競争が生まれにくく、電気料金の抑制効果が限られるおそれがあります。
計画では電力10社の送配電部門を分社化し、運用に介入できないようにします。ただ、東電は16年4月に送配電部門を分社化することを決めていますが、他の電力会社は経営体制が大きく変わる発送電分離を強く警戒しています。電力会社の抵抗が強いなか、15年の通常国会に政府が関連法案を提出できるかどうか。発送電分離は電力システム改革の実効性を左右するだけにその成否が注目されます。