欧米では1990年代から電力事業の規制を緩和する機運が高まり、国営電力会社の民営化や電力事業の民間開放が相次ぎました。この流れを受け、日本でも競争原理の導入によって電気料金上昇を抑制するため、電力自由化が段階的に進みました。
95年に電力10社にしか認められていなかった発電事業への参入が自由化され、電力会社に電力を売る「電力の卸売り」が解禁されました。電力の小売りも特定地点に限定してできるようになりました。
2000年には大型工場や商業施設など、使用する電力の上限(契約電力)が2000キロワット以上の大口需要家向けの小売りが自由化され、「特定規模電気事業者(PPS)」として経済産業省に届け出・登録すれば参入に道が開けました。PPSは「新電力」とも呼ばれます。04年に契約電力が500キロワット以上の中規模需要家向け、05年には同50キロワット以上の小規模需要家向け小売りがそれぞれ開放されました。
しかし、電力量全体の4割を占める家庭や小規模商店向けの小口の小売りは自由化されず、引き続き電力10社の独占状態が続きました。また、欧米では同時に送電網の開放が進みましたが、日本では電力会社が独占したままでした。