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寝台列車の歴史と「クルーズトレイン」について知る

2014.7.7 掲載
「ブルートレイン」として親しまれたJRの夜行寝台特急列車が相次ぎ廃止される一方で、車中で一流ホテルのようなサービスを楽しみながら観光地をめぐる豪華寝台列車「クルーズトレイン」が注目を集めています。2013年秋に運行を始めたJR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」に続き、JR東日本とJR西日本も豪華列車の運行計画を発表しており、これからの寝台列車の主流となりそうです。今回は寝台列車の歴史と、鉄道各社のクルーズトレイン導入の背景や動向について解説します。

1. 明治時代に国内に初めて寝台車が導入

 寝台列車の誕生は世界では19世紀初頭までさかのぼります。1838年に米国のペンシルバニア州で寝台車の運行が始まりました。1867年に米国で設立されたプルマン社は居住性の高い客車や食堂車、寝台車を開発して米国や英国などで運行しました。欧州大陸での寝台列車の先駆けは1872年にベルギーで発足した国際寝台車会社(ワゴン・リ社)です。豪華な個室寝台車や食堂車を備えた列車を欧州各国で運行し、なかでも西欧とバルカン半島を結ぶ「オリエント急行」は世界的な名声を博しました。
 日本では1900年(明治33年)に山陽鉄道の神戸~三田尻(現・防府)間の急行列車に初めて寝台車が導入されました。これは喫煙室や扇風機なども備えた豪華な一等寝台車でした。料金が安い三等寝台車が登場したのは1931年(昭和6年)で、国鉄の東海道本線の東京~神戸間の列車に連結されました。三等寝台車の拡大により一般庶民も快適な長距離列車の旅を楽しめるようになりました。
2014年7月7日掲載