寝台列車が長距離の移動手段として競争力を失う一方で、JR各社は80年代以降、「列車による旅行そのものを楽しむ」というコンセプトで、豪華な設備ときめ細かいサービスを提供する寝台列車を相次いで投入します。
その先駆けが88年3月に青函トンネル開業に合わせて誕生した、上野~札幌間を結ぶ寝台特急「北斗星」です。トイレ・シャワールームを設置したA寝台の1人用個室「ロイヤル」をはじめ、A寝台の2人用個室「ツインデラックス」、B寝台の2人用個室「デュエット」、コース料理が楽しめる食堂車「グランシャリオ」などを連結しており、これまでにない豪華な寝台列車として脚光を浴びました。これに続き、89年に大阪~札幌間を約22時間、ほぼ一昼夜かけてつなぐ「トワイライトエクスプレス」が、99年にはすべての客室がA寝台の2人用個室という豪華な寝台特急「カシオペア」が上野~札幌間で運行を開始。いずれも高級ホテルを思わせる内装や高水準のサービスで人気を博しました。