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寝台列車の歴史と「クルーズトレイン」について知る

2014.7.7 掲載
「ブルートレイン」として親しまれたJRの夜行寝台特急列車が相次ぎ廃止される一方で、車中で一流ホテルのようなサービスを楽しみながら観光地をめぐる豪華寝台列車「クルーズトレイン」が注目を集めています。2013年秋に運行を始めたJR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」に続き、JR東日本とJR西日本も豪華列車の運行計画を発表しており、これからの寝台列車の主流となりそうです。今回は寝台列車の歴史と、鉄道各社のクルーズトレイン導入の背景や動向について解説します。

3. 「移動の手段」から「移動時間を楽しむ」へシフト

3. 「移動の手段」から「移動時間を楽しむ」へシフト
 寝台列車が長距離の移動手段として競争力を失う一方で、JR各社は80年代以降、「列車による旅行そのものを楽しむ」というコンセプトで、豪華な設備ときめ細かいサービスを提供する寝台列車を相次いで投入します。
 その先駆けが88年3月に青函トンネル開業に合わせて誕生した、上野~札幌間を結ぶ寝台特急「北斗星」です。トイレ・シャワールームを設置したA寝台の1人用個室「ロイヤル」をはじめ、A寝台の2人用個室「ツインデラックス」、B寝台の2人用個室「デュエット」、コース料理が楽しめる食堂車「グランシャリオ」などを連結しており、これまでにない豪華な寝台列車として脚光を浴びました。これに続き、89年に大阪~札幌間を約22時間、ほぼ一昼夜かけてつなぐ「トワイライトエクスプレス」が、99年にはすべての客室がA寝台の2人用個室という豪華な寝台特急「カシオペア」が上野~札幌間で運行を開始。いずれも高級ホテルを思わせる内装や高水準のサービスで人気を博しました。
2014年7月7日掲載