戦後の高度経済成長期にはビジネスや観光が目的の長距離移動の需要が急増し、これに伴って寝台列車も急速に増えました。1956年(昭和31年)に初の寝台特急「あさかぜ」が東京~博多間で運行を開始。1958年(昭和33年)には寝台特急用に開発された客車「20系」があさかぜに採用されました。この車体の塗装が青系統の色だったため、寝台特急は「ブルートレイン」の愛称で呼ばれるようになりました。
長距離移動の手段が乏しかった当時、夜間に寝ながら移動でき、翌朝には目的地で活動できる寝台列車は効率的な移動手段として人々の支持を得ました。需要の拡大とともに主要幹線の特急列車や長距離急行列車に次々と寝台車が導入され、1960年代から70年代にかけて寝台列車の数はピークを迎えます。70年代から80年代にはブルートレインの新型車両を周知するために国鉄が実施したキャンペーンにより、いわゆる「ブルトレブーム」が起こります。
鉄道ファンの人気上昇とは裏腹に、70年代ごろから寝台列車の需要には陰りが見え始めました。新幹線や飛行機、高速バスといった他の長距離移動手段の普及により、利用客が減ったからです。これに加え、87年の国鉄の分割民営化で生まれたJR各社はこれまで以上に効率経営を求められました。利用客が減り採算が取りにくくなったことから、寝台列車は2000年代以降、次々に廃止されました。