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高齢化と税制改正で注目される相続の基本と最新事情を知る

2014.6.16 掲載
人が亡くなったときに、その配偶者や子、兄弟姉妹らが遺産を受け継ぐ相続。高齢化の進行の影響もあり、相続手続きは以前より複雑になっています。また、相続税の課税対象が2015年から拡大され、課税への備えが必要な人の増加も見込まれています。今回は相続が法律上でどのように定められ、どういった場合に税金がかかるのか、注目されている背景、相続税制の改正内容などについて解説します。

1. 配偶者は常に相続人、その他の遺族の相続は順番

1. 配偶者は常に相続人、その他の遺族の相続は順番
 相続とは人が亡くなったときに、その人の財産などの権利や義務を特定の人が受け継ぐことです。日本では民法で規定されており、法律用語で亡くなった人を「被相続人」、財産を受け継ぐ人を「相続人」といいます。
 引き継ぐ財産(遺産)は土地や建物などの不動産、現金や預金のほか、誰かに貸したお金や商売上の未収金などの「債権」も含まれます。また、借金をはじめ、税金や医療費の未払い金などの「債務」も相続の対象です。
 民法は誰がどのように相続するかを定めています。配偶者に必ず一定の財産を相続する権利を認めています。他に遺族がいない場合は単独で全財産を、他に遺族がいる場合はその遺族と共同で相続します。
 配偶者以外の遺族は以下の順に相続する権利があるとしています。
・第1順位:被相続人の子(または孫)
・第2順位:被相続人の親や祖父母
・第3順位:被相続人の兄弟姉妹
 第1順位の子が1人でもいれば、配偶者はその子だけと相続します。子がいなければ、被相続人の親や祖父母と、子や孫、親や祖父母がいなければ兄弟姉妹と相続します。子が亡くなっている場合は、その子(被相続人の孫)が代わって相続します。これを「代襲相続」といいます。
 例えば、子がいない夫婦の夫が亡くなった場合、その遺産はすべて妻のものと思いがちです。しかし、存命であれば夫の親も相続する権利があり、親がいなくても夫の兄弟姉妹がいれば遺産を受け取る権利があります。被相続人の兄弟姉妹の子(被相続人のおい・めい)にも代襲相続が認められています。
2014年6月16日掲載