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「ベア」「定期昇給」って何?~企業の賃上げの仕組みを知る

2014.4.7 掲載
大手企業で社員の賃上げが相次いでいます。円安を追い風に、輸出企業を中心に業績が改善していることなどが背景にあります。賃上げで経済の好循環を実現しようとする安倍政権の産業界への要請も影響しています。今回は賃上げの定義や仕組み、これまで賃上げが抑えられてきた経緯、今春の賃上げ動向などについて解説します。

3. 政府の要請で賃上げに踏み切る大手企業が相次ぐ(1)

3. 政府の要請で賃上げに踏み切る大手企業が相次ぐ(1)
 14年の春季労使交渉は様相が一変しました。安倍政権が進める経済政策「アベノミクス」への期待感により2012年末から円安に転換したことで、自動車や電機など輸出産業の業績が回復しているほか、小売りなど内需型産業の収益も上向いています。このため、全国の労組を束ねる中央組織である連合は14年の春季労使交渉で1%以上のベアを要求する方針を決めました。
 これを受けて、トヨタ自動車の労組は月4000円のベアを、パナソニックや日立製作所など電機大手6社も月4000円のベアを要求しました。これに対し、トヨタは08年実績の1000円を大きく上回るベア2700円に加え、一時金6.8カ月の要求に満額回答しました。電機大手6社も2000円のベアを回答しました。このほか、鉄道や通信、小売り、外食など幅広い業種でベアが実施され、近年にない規模の賃上げに踏み切る企業が相次ぎました。
2014年4月7日掲載