天然ガスは炭化水素の一種であるメタン(CH4)を主成分とする可燃性ガスです。地球の地殻に埋蔵されており、石炭や石油から精製して作られるガスと区別して「天然」の名が付けられています。石油や石炭と同じ化石燃料の一種で、何千万年も前に泥とともに海の底に沈んだ動物の死骸や倒れた植物が、地熱や地圧で長い時間をかけて分解してできたとみられます。
天然ガスのうち、以前からガス田などで採掘されているものを「在来型天然ガス」、通常のガス田以外から高度な技術で採掘されるものを「非在来型天然ガス」といいます。シェールガスは後者の代表例です。在来型が採掘しやすい地下の比較的浅い層にあるのに対して、シェールガスは地中深くの頁岩(けつがん=シェール)という固い泥岩の中に閉じ込められています。このため、以前から存在は知られていたものの、効率よく取り出すことが難しいために開発が見送られてきました。
しかし、砂などを含む高圧の水で岩盤を砕いて回収する水圧破砕などの採掘手法が確立し、2005年ごろに北米で本格的に生産が始まりました。これにより米国の天然ガスの生産量は急速に伸び、09年にロシアを抜いて世界最大の天然ガス生産国となりました。