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「シェール革命」で何が変わる? 日本への影響は?

2014.3.3 掲載
北米で新型天然ガス「シェールガス」の生産が本格化し、世界のエネルギー市場や経済・産業構造を大きく変える「シェール革命」が進行中です。2017年には米国から日本へのシェールガス輸出が始まる見通しで、国内の発電コストの抑制などにつながる可能性があります。今回はシェールガスとは何で、その生産増の背景や国内外の産業活動、エネルギー調達にどんな影響を与えるかなどについて解説します。

1. 採掘手法を確立した米国で生産が本格化

1. 採掘手法を確立した米国で生産が本格化
 天然ガスは炭化水素の一種であるメタン(CH4)を主成分とする可燃性ガスです。地球の地殻に埋蔵されており、石炭や石油から精製して作られるガスと区別して「天然」の名が付けられています。石油や石炭と同じ化石燃料の一種で、何千万年も前に泥とともに海の底に沈んだ動物の死骸や倒れた植物が、地熱や地圧で長い時間をかけて分解してできたとみられます。
 天然ガスのうち、以前からガス田などで採掘されているものを「在来型天然ガス」、通常のガス田以外から高度な技術で採掘されるものを「非在来型天然ガス」といいます。シェールガスは後者の代表例です。在来型が採掘しやすい地下の比較的浅い層にあるのに対して、シェールガスは地中深くの頁岩(けつがん=シェール)という固い泥岩の中に閉じ込められています。このため、以前から存在は知られていたものの、効率よく取り出すことが難しいために開発が見送られてきました。
 しかし、砂などを含む高圧の水で岩盤を砕いて回収する水圧破砕などの採掘手法が確立し、2005年ごろに北米で本格的に生産が始まりました。これにより米国の天然ガスの生産量は急速に伸び、09年にロシアを抜いて世界最大の天然ガス生産国となりました。
2014年3月3日掲載