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「シェール革命」で何が変わる? 日本への影響は?

2014.3.3 掲載
北米で新型天然ガス「シェールガス」の生産が本格化し、世界のエネルギー市場や経済・産業構造を大きく変える「シェール革命」が進行中です。2017年には米国から日本へのシェールガス輸出が始まる見通しで、国内の発電コストの抑制などにつながる可能性があります。今回はシェールガスとは何で、その生産増の背景や国内外の産業活動、エネルギー調達にどんな影響を与えるかなどについて解説します。

3. 米国産天然ガス、17年から日本へ輸出

3. 米国産天然ガス、17年から日本へ輸出
 日本もシェール革命と無縁ではありません。米エネルギー省は14年2月までに、米国で日本企業が参画するシェールガス事業をすべて承認し、17年から日本への輸出が始まる見通しです。
 日本は天然ガスのほぼ全量を海外からの輸入に依存しています。米国からシェールガスを調達できれば、液化や海上輸送の費用を上乗せしても、従来よりも安く済むとみられています。東日本大震災で原発の稼働が止まってガス火力発電が増えた結果、13年の日本のLNG(液化天然ガス)輸入額は震災前の2倍の7兆円に増えました。これに伴う電気料金の引き上げは企業活動や家計に大きな負担となっています。天然ガスなどエネルギー価格が下がれば、経済・産業活動にもプラスに働きます。
 ただし、シェール革命に期待をかけ過ぎるのは禁物です。日本政策投資銀行の試算では、20年時点の米国産LNGの輸入量は最大で約1500万トン。12年の日本のLNG輸入量の2割弱にとどまるからです。
2014年3月3日掲載