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「シェール革命」で何が変わる? 日本への影響は?

2014.3.3 掲載
北米で新型天然ガス「シェールガス」の生産が本格化し、世界のエネルギー市場や経済・産業構造を大きく変える「シェール革命」が進行中です。2017年には米国から日本へのシェールガス輸出が始まる見通しで、国内の発電コストの抑制などにつながる可能性があります。今回はシェールガスとは何で、その生産増の背景や国内外の産業活動、エネルギー調達にどんな影響を与えるかなどについて解説します。

2. 米国が世界最大の石油・ガス生産国へ

2. 米国が世界最大の石油・ガス生産国へ
 シェールガスが低価格で大量に供給されれば、天然ガスや原油などの価格動向はもちろん、各国の経済や産業活動、さらにはガス・原油の供給国と消費国の外交関係にも大きな影響を与える可能性があります。このためシェールガスの急速な生産拡大は「シェール革命」とも呼ばれています。
 すでに影響は出始めています。米国が国内産の天然ガス利用にシフトしたため、カタールなど中東産の天然ガスが欧州市場に流れました。これにより欧州向けのロシア産ガスが東アジアに回り、天然ガス価格が下落するなど、世界のエネルギー地図が塗り替えられつつあります。
 米国では天然ガス価格が大幅に下がり、これを原料や燃料として使う製造業の競争力を底上げしています。頁岩層から天然ガスだけでなく原油(シェールオイル)も採掘され、生産が拡大しています。国際エネルギー機関(IEA)は米国が15年に世界最大の産油国になると予測しています。
 米国が天然ガスと原油を自給できるようになれば、世界にエネルギーを供給する中東諸国などへの政治的な関与を縮小していくとの見方もあります。シェール革命により、エネルギー供給をめぐる各国の関係は大きく変化するかもしれません。
2014年3月3日掲載