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「ビッグデータ」でどんなことができるの?

2014.2.3 掲載
「ビッグデータ」という言葉を見聞きする機会が増えています。情報端末の進化やソーシャルメディアなどのIT(情報技術)サービスの普及にともない、多様で大量のデジタルデータが日々生まれるようになりました。これがビッグデータです。データを処理・蓄積する情報機器の性能や分析技術が飛躍的に向上したことにより、ビッグデータをマーケティングや商品開発、業務改善などビジネスに生かす企業が増えています。国や自治体も注目しており、防災や医療、農業など様々な分野で活用が期待されています。今回はビッグデータとは何か、企業の活用事例、本格的な普及に向けた課題などについて解説します。

1. 新たな価値を生み出す膨大な情報

1. 新たな価値を生み出す膨大な情報
 ビッグデータとはインターネットをはじめとする各種の情報システム上に蓄積される膨大な量のデジタルデータのことです。定義は色々ありますが、米国の大手調査会社IDCは①100テラ(テラは1兆)バイト以上の規模で収集・蓄積されたデータ②高速で収集・処理されたデータ③毎年6割以上のペースで増え続けるデータ――この3条件のうち1つを満たせばビッグデータとしています。
 ビッグデータを分析してビジネスや人々の生活に役立てようとの機運が高まっています。これまでも大企業は顧客情報や販売データなど、大量のデータを蓄積・分析して販促などに活用してきました。近年、スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)などの情報端末が急速に進歩し、電子マネーやポイントカード、ツイッター、フェイスブックなどの各種IT(情報技術)・ネットサービスが普及。文字や数字だけでなく、音声、画像、位置情報などを含む従来よりも格段に多様で大量のデータがリアルタイムで生み出されるようになりました。2012年の全世界のデータ量は2.8ゼタ(ゼタは1兆の10億倍)バイトでしたが、20年には14倍の40ゼタバイトに膨らむと予測されています(IDC調査)。
 これに加え、データを処理・蓄積するIT機器が安価になり、性能も飛躍的に向上。米グーグルやアマゾンなどのネット企業が大量のデータを収集・集計する技術を一般企業に提供を始め、データの固まりから法則を見つけ出す分析技術も発達しました。性質の異なる膨大なデータの組み合わせから、新たな知見や価値を生み出せるようになったことから、10年ごろからビッグデータが注目されるようになりました。総務省はビッグデータ活用による国内の経済効果を年間7兆7700億円と試算しており、日本経済底上げへの貢献も期待されています。
2014年2月3日掲載